第36章

「こんばんは、公爵閣下」

公爵が軽くうなずく。

「こんばんは、デイヴィス子爵」

「まさか今夜こちらで閣下にお目にかかれるとは。いやあ、嬉しい驚きです。ようこそ、ようこそ」

デイヴィス子爵は受付責任者の仕事をするりと引き取り、公爵家の一行を自らもてなし始めた。

子爵とはいえ、デイヴィス子爵の背後には侮れない後ろ盾がある。王家とも多少の縁があるらしく、公爵の前でも「こちらにもそれなりの面子がある」という距離感を崩さない。熱心だが媚びない態度に、冗談の利いた口ぶり。八方美人というより、場の空気を読むのが上手い男だ。会話の端々で相手の懐へ自然に入り込み、好感を積み上げていく。

公爵として...

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